おっさん's だいありー

主にバイクのこととか、ランニングのこととか、Jリーグ・FC東京のこととか

病院へ行こう!その5(1)

◆ザ・大名行列...

 「下ぁ~に~ 下にぃ~・・・」ははぁ~<(_ _)>

 ななななにやら、ゾロゾロとやってきだぞ・・・

 そう、ここは大学病院。
 毎週水曜日になると「教授回診」なるものがある。
 まぁ早い話、ここで言えば整形外科の教授がその取り巻きを引き連れて各病室を練り歩いていくわけだ。新米インターンから主治医から諸々と看護婦も婦長さん以下これまたぞろぞろと。

 その姿はまるで大名行列である。

 そしてオレ達は地べたにひれ伏す哀れな水呑百姓...てぇところだろうか。なんだか妙に卑屈になってしまう・・・。

 オレの病室にやってきたどんだけ偉いのか知らんが教授らしきジィさま。オレのところへも回ってきてカルテをパラパラとめくり、付き人にボソボソ一言二言言葉を交わし通り過ぎていった。
 わざわざ回ってくるとはご苦労な事だ。

 ・・・ところがこのジィさまが、まさか後のオレの運命を握っていようとは、この時は想像だにしていなかった。

 聞くも恐怖、語るも恐怖の物語・・・

 これも例の如くまたまた後程のお話という事で・・・

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◆点滴とアラレちゃん.....

 さて、入院生活スケジュールは、相変わらず淡々とこなされ過ぎ去っていく。入る際の先生の”2,3日間”という言葉が今となっては何も根拠のなかったものと気付くのにはあまりに遅すぎたようだ。いつしかそれは、ただただ「宛てもなく・・・」というものに摩り替わっていた。

 症状としては、当初もしかしたら骨折の疑いもある?とのことから”MRI”(断層写真)も撮った。挙句、足首固定からギプスぐるぐる巻きにされたり、かと思うと外されたり・・・。あたしゃ、ネギトロ巻きかいっ!ってなもんだ。でも結局その心配もなく感染症の可能性と睨めっこしながら、あとは無事に傷が塞がり皮膚が上がってくるのをひたすら待っている、といった状態であった。とにかく外傷が癒える事が先決であった。

 朝は例の如くAM6時の検温で叩き起こされる。続いて洗面を行い、AM8時くらいに朝飯となり、そして・・・AM10時に例の「拷問」の時間がやってくる。そこでひとしきり叫びまくり腹も減ったところで昼飯がやってくるわけだ。そして午後はひたすら暇を持て余す。
 だがその間、たまにイレギュラーの検査が入ったりもする。週に一回程度は血液検査もあり、その度に血を抜かれる。
 オレは死ぬほど注射が大嫌いだというのに、ここまでくるともう慣れっこになっている自分が悲しい・・・。まぁそれもそのはず、まだまだこの時も朝晩は自分の腕には点滴が繋げられているわけだから慣れない方がおかしい。しかしそれでも刺されるのは気が重い。憂鬱になる。まぁ、入院当初よりは本数が減ってきた事がせめてもの救いか。

 そうそう、今回は何もかもが初めて尽くしであったわけだ。
 入院というものも初めてなら、自分の腕に点滴が繋がった事も初めてであった。 ぽたぽたと滴が落ちていく様を見ていると、いやぁ~本当にオレ、入院してるんだなぁ、と妙に感慨深くなってしまう。こんなシーンはTVドラマでしか見た事なかったからだ。

 そんな物思いに耽りながら、ボケ~っとその滴が落ちていくのを目で追っているオレ。あぁ、命とはなんと儚いものなのか・・・なにやら悟りを開いた(わけはない)。

 ふと、ぶら下がっている点滴の容器に目が行った。

 ほよ~!もう空っぽだ!
 やばい!そのままチューブ伝いに体内に空気が入ってしまう!
 あぁー、死んでしまうー!

 慌ててナースコールするオレ。 なかなかやって来ない看護婦さん。
 一滴一滴と自分の絶命が間近に迫り来る恐怖に打ち震えながら看護婦さんをひたすら待ち続けるいたいけなオレ。なんと無力な子羊ちゃんなことであろう・・・。
 程なく点滴を外しにやってきてくれた看護婦さん。
 その姿が天使さまに見えた事は言うまでもない。
 「白衣の天使さま」とはきっとここからきているのだろう(勝手な解釈)
 そして我が命が無事に繋がった事にホッと安堵するいたいけな子羊こと、オレ。

 あるとき、不覚にもその点滴をしたまま寝入ってしまった。
 ぽたぽたと運命の滴は落ちていく。
 そしてオレが寝入ったまま点滴の容器内ではデッドラインが既に越えられようとしていた。
 そうとは知らずにそのまま寝入っているオレ。
 あぁ、このまま天国に召される事になろうとはツユ知らずに・・・。
 しかしこの荒れた世情を見る限り、このまま天に召された方がむしろ幸せかもしれない。
 さぁ、このまま安らかに眠りたまえ・・・オレ。
 ・・・夢枕で聞こえたその声とは裏腹に、ふと目を覚ましてしまったオレ。
 その目に映っていたのはすっかり落ちきった点滴であった。

 あぁ、もうおしまいだぁぁぁ!その点滴のチューブから空気が体内に入り込み・・・これから死の苦しみに悶絶するのだぁぁぁ!

 ...のはずだったのだが・・・その中の薬剤は、腕に繋がれていたチューブの中でちゃんと止まっていた。

 そしてそしてオレは気付いた・・・

 な~んだ、慌てなくっても、ちゃんと止まってくれるのね。お利口さん♪
 今思うと当たり前の話しだわな。チャンチャン♪
 知らないというのは、げに恐ろしきかな・・・

 ・・・と、自分がおバカだった話しは笑い話で済むのだが・・・

 入院当初は、24時間常に腕には点滴が2,3種類は繋がっていた。その度ごとに針を射しまくっていては腕が穴だらけになって射す所がなくなってしまう。そりゃぁ射される側も気が滅入りそうだ。そこで「ルート確保」をされていた。つまり針は常に血管に刺さりっぱなしになっていて、点滴をする時はその「ジョイント」で繋げるというもの。そして点滴が終わったら、レバー式の”コック”を閉じて点滴を外し、そして腕はフリーになる。

 まぁ考えてみたら、常に自分の腕の血管に針が刺さっていると思うと気持ちのいいものではないが、しかしその度ごとに刺されるよりはまだマシというものだ。針もどうやら固い金属製のものではなく、柔らかいプラスチックのような材質みたいだ。だから普通に腕を動かしても血管を突き破る!みたいなことは起こり得ないようだ。

 ・・・と、前置きが長くなったが・・・

 そんな状態だったオレ。
 ある夜、いつもの如く寝る前の点滴を受け、そしていつもの如く終了につき点滴を外され、そのまま眠りにつく。

 あぁ、今日も一日、よくぞあの「拷問」にも耐え、あの先生のサディスティックな仕打ちにも耐え忍び、オレってば、なんて偉いんだろう・・・ホッとしながら意識が徐々に薄れていく・・・

・・・その刹那!

 ・・・ん?・・・な~んか変だぞ??

 ・・・な~んか嫌な予感がするぞ???

 恐る恐るベッドに備え付けの灯りを付けてみた。





















 なんじゃこりゃぁぁぁぁ!
 (松田優作 風に・・・)





















 純白のシーツが血で真っ赤に染まっていた...\( ><)シぎょぇぇぇ


 あぁ、オレってば、やっぱり死ぬ運命だったのね・・・(まだ言うか)
 あぁ、儚い命だったのぅ・・・(もしもし?浸り始めたぞ・・・)
 あぁ、我が人生に悔いなし!・・・(悔いだらけとちゃうんかい?!)
 あ、遣り残しといえば、看護婦さんと・・・ムフフ・・・残念だったのぅ・・・(このスケベ野郎!)
 そうだ、最後にその看護婦さんにお別れを言ってから逝こう・・・(勝手に逝け!)
 ピンポ~ン♪(ナースコール押す音)

 「はい、どーされましたかぁ?(^o^)」

 「愛しの看護婦さん、さよ~なら~~~~~(;_;)/~~~
 実は、カクカクシカジカ・・・云々かんぬん・・・」

 「わかりました。すぐ行きますからね。」

 「あらまぁ、点滴のコックの閉まりが甘かったのね~。ごめんなさ~い♪」

 ・・・ということだった。おわかり?
 そそくさとその看護婦さんはシーツと病院着の替えを持ってきて交換してくれたとさ。

 そんな人騒がせなこの看護婦さん、どこにでもいるようなふつう~~~なお嬢さま。
 黒ぶちの丸いメガネを掛けているので、まるで「アラレちゃん」のよう・・・。


 あるとき、なんの話題での会話だったかは忘れたが・・・
 彼女、曰く。。。

 「女性の顔に傷跡が1cm残った場合と、男性のアレがちょん切れるのと、同等の後遺障害等級なのよん♪」

 そそそんな~殺生なぁ~
 平気な顔してスラリと言ってのけたアラレちゃん。あんた、キャラが違うってば。
 なんとも残虐で冷徹なお言葉。
 ・・・ちょん切れる?!あぁ、考えただけでも悶絶しそうな今日この頃。


 そ、そうか、女性の顔には十分注意しよう。
 もしなんらかの拍子に・・・、それは”チョッキンナ”に匹敵するのか・・・痛そうだ (^_^;;;


 た、たのむ・・・切らんといてや~ アラレちゃん(-人-;)

 んちゃーっ!(^○^)/ って・・・(汗)

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(2)へ続く。